6日目朝、霧のような雨が時折舞う程度だったので出発。
この日の予定は双六小屋までなので時間には余裕があるのでのんびりと行く。
三俣蓮華岳
この時点では時折明るくなるもののガスに包まれた状態。
こんな天気ではと、双六岳はスルーして中道経由で双六小屋に行くことにしたが。
中道を歩きだしてしばらくすると急にガスが晴れてきて、
これは双六岳山頂経由にすればよかったと激しく後悔。
白い世界はどこへやら...三俣蓮華岳と鷲羽岳。
ついさっき、あの三俣蓮華岳山頂にいたときは真っ白だったのに。
もっとゆっくり出発してくればよかったな。
急激に回復する天気、目の前には
槍ヶ岳が!
道の脇に大きくて平たい岩があったのでその上からパシャパシャ撮影して、
何気なくひょいと岩から下りようとしたとき、重いザックに振られたせいかバランスを崩し転倒。
路面に叩きつけられ、その際に路傍にあった岩に脇から背中にかけて強打。
手にカメラを持ったままでとっさに受け身もとれなかったというお粗末。
それも場所はここでどうやってケガするのか不思議なくらいの全くの平坦な道...。
「!!!」
激痛のあまりしばらく動けず、
あ~、やっちまったと。
なんて馬鹿なんだろうと。
とにかくまずは心を落ち着けて息を整え身体をチェック。
外傷はちょっとした擦り傷くらいだが、
やはり岩に強打したところがかなり痛い。
とにかく双六小屋までは行かないと…
ザックを担ごうとすると激痛。
しかしなんとか担いで歩き出してみると、
ゆっくりそーっと歩けば痛みはそれほどでもなく、
これならなんとかなる!とちょっとホッとした。
慎重に歩いて双六小屋に到着。
さてどうする?
当初の予定ではこの日は双六小屋。
翌日笠ヶ岳に行き、
翌々日に新穂高へ下山。
それに合わせて新穂高にクルマの回送をお願いしてある。
今日の今日、今の今、いきなり予定変更で今から回送してくれというのも
回送業者としてもちょっと無理な話だろう。
それにまだこの期に及んで明日の笠ヶ岳行きを諦めることができないでいた。
とりあえずこの日は予定通りここでテン泊。
明日進むか下山するかは痛みの様子をみてのことにした。
テントを張ってとりあえず昼食。
そんな状態でよくもまぁ…しかし美味い。2日間飲めなかったから特に。
フツーにビールも美味いし食欲もバッチリでカレーも美味い。
これなら大丈夫じゃないか?
望みはまだあるんじゃないか?
どうやら打撲で済んだのではないか?
明日も進むことができるんじゃないか?
なんて思ったりもしたのだが、
ちょっと休んで考えようと、テントに戻って横になろうとすると、
「!!!」
激痛のあまり横になることができない。
はぁ、こんな状態ではやっぱりダメだ。
さすがに諦めるしかない。
回送業者に連絡して予定変更で明日の回送をお願いすると快く承知してくれた。
座っているのが一番楽なのでしばらく小屋前でボーっとしてた。
樅沢岳に登って夕日に染まる槍ヶ岳が見たかったなぁ。
鷲羽岳を眺めながら、
出てくるのはため息と、「馬鹿だよな~」という言葉の繰り返し。
とにかく明日は細心の注意を払って下山しなければならない。
転倒した場所からここまで歩いた感じでは、
ゆっくりそっと身体に衝撃の無いように歩けば時間はかかるがなんとかなりそうだ。
小池新道は何度も歩いたこともあるし、傾斜も緩やかで整備された歩きやすい道だ。
なんとかなる、大丈夫、テントの中でそう自分に言い聞かせながら
座った姿勢でうつらうつらしながら朝を待った。
7日目
天気は曇り。ガスった空を見上げなんかホッとした。
ザックを担ぐときには相変わらず痛みが走ったが、
担いで歩きだせば昨日と同じように痛みはほとんどない。
あとは下山までこの調子が続いてくれることを願うばかり。
そしてひたすらゆっくり歩を進める。
小池新道の途中では女優の釈由美子サンが
実践!にっぽん百名山のロケをしているところに遭遇。
テレビで見るよりも細くてちっちゃい感じだった。
そして、7時間ほどかかり無事に新穂高に下山。
クルマを回収して無事に帰宅することができた。
当初の計画は7泊8日。
そんなに長く体力的にも精神的にも歩き続けられるのか、
山にいられるのか、飽きちゃったりしないか?
そんな不安もあったが全くの杞憂だった。
アクシデントさえなければまだまだ歩き続けたい、
そんな気持ちだったなぁ。
ただ、今回全くの自分の不注意からケガをすることとなり、
せっかくの山旅を台無しにしてしまった感もあるけれど、
楽しいこともいっぱいあったし、良いことも悪いことも今回体験したことは
今後の山行にも必ず活きてくるし、また必ずそうしなければならないと思う。
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翌日、朝一で病院に行き、レントゲン検査の結果、
肋骨が4本折れているとのことだった。
医師も、よく下りてこられたね~と。
今思うと、担いだザックがうまく固定してくれる感じだったのかな。
空身で歩くほうが痛かったから。
(後日、経過観察の際にCT検査したら実は6本やられていたことが判明)
そして最初は、せっかくの夏休み山行なのになんて不運なんだろうと思ったけど、
もし脇や背中じゃなくて頭を打っていたらどうなっていただろう?
岩が尖っていたらどうなっていただろう?(これが見事に滑らかで丸みを帯びた岩だった)
そう考えるとゾッとするし、また、めちゃめちゃ幸運だったのではないか?
生かしてもらえたんだな~と今は思っている。
しばらく山歩きはできないけれど、
きっちり治して今後はより慎重に安全を心がけて
山歩きを楽しんでいけたらなと思う。